地中構造物の耐震解析法の解説 ~応答震度法を中心にして~
地中構造物の基本的な考え方
- 地中構造物の見かけの重量は、周辺地盤と比較して小さいため構造物自身で振動することなく、周辺地盤と同様に振動する。
- 構造物の変形は、地震が地盤に覆われているため、構造物の振動によるエネルギーは周辺地盤に吸収されてしまい、結果として地震時に生じる周辺地盤の変形に追従して挙動する。
- 地震時土圧による照査法(震度法)
- 地盤の変形を考慮した照査法(応答変位法、応答震度法(FEM系静的解析手法))
- 動的解析手法
応答変位法の概要
下図は、地盤・構造物全体系に地震動が働いた場合の地中構造物の挙動を示したものです。破線で囲まれているものが構造物の元の形状を表し、地震によって実線のように変形することを表しています。

応答変位法の基本的な原理は、図の全体系から地中構造物のみを抜き出して、地中構造物の地震時挙動が実線のように変形することを再現する方法です。したがって、応答変位法を正確に行うためには、構造物周辺での変形と力の状態が全体系と等価になるように地震時荷重を設定する必要があります。
下図は、フレーム法による応答変位法のモデル図です。地中構造物を梁要素でモデル化し、周辺に地盤と構造物からなる相互バネを配置します。荷重には、地盤の地震応答解析等から計算される自然地盤における変位と地盤内に発生する応力、さらに、構造物自身の重量による慣性力を作用させます。

ここでは、複雑な地震力の作用メカニズムを明らかにするために、次のような簡単なモデルを用いて説明します。
下図のように地中構造物の硬さと重さが周辺地盤と同じモデルを想定します。地中構造物は、地盤の点線で囲まれた塊と同じになります。この場合、接触面では、地盤内応力としてせん断応力のみが作用することになり、力学的な釣合いが保たれます。このような場合、側面に直角方向に作用する地震時土圧などは生じず、地盤と構造物の剛性の違いによる相互作用力も発生しません。
つまり、構造物だけを取出して解析する場合は、この地盤内応力による地震荷重(周面せん断力)のみを考慮すればよいことが分かります。

しかし、一般に地中構造物と周辺地盤の剛性は異なっています。ここでは、その場合の地震荷重の設定方法について考えてみます。
下図は、地盤内の応力のみが働いた場合の構造物の変形を表しています。地中構造物と周辺地盤の剛性が異なる場合、実際には実線で表される構造物の変位と点線で表される自然地盤の変位との間に食違いが生じます。この変位差によって構造物の側面に周辺地盤からの押し引きの力が働きますが、その押し引きの力の方向は地盤と構造物の剛性差によって異なります。これが地盤と構造物の剛性差に基づく動的相互作用力に相当します。
したがって、耐震計算では構造物のフレームモデルの周辺に地盤バネを設け、自然地盤の応答変位をバネ端から入力してこのような相互作用力を評価します。

ここで説明した応答変位法は、その力学モデルの基本要素である地盤バネの設定方法が指針・基準ごとで異なるなど一貫性がありません。
これに代わる耐震計算法として提案されたのがFEMを用いた静的解析法です。この解析法では、応答変位法において設定方法が曖昧になっている地盤バネを使うことを避けるために、地盤~構造物の全体系をFEMでモデル化し、地震荷重や境界条件の設定法を変えることによりいくつかの解析法が提案されています。
次の章では静的解析法の一つである応答震度法について説明します。
応答震度法の概要
- 地震荷重の評価方法が容易で相互作用バネの設定がいらない
- 免震開削トンネル構造など特殊なモデルにも適用可能
- モデル作成に時間と労力がかかる
- 地盤の非線形特性を考慮できる反面、計算時間がかかる
- 地中構造物の非線形性を追従するためには要素分割を細かくしなければならない

下表は応答変位法と応答震度法の長所と短所です。目的に応じて使い分けが必要です。

地中構造物の応答震度法による耐震解析の計算プロセスについて
- トンネル標準示方書[開削工法編] (応答変位法)
- 阪神高速道路基準 (応答震度法)
- 首都高高速道路基準 (応答変位法)
- NEXCO設計要領基準 (応答震度法)
- 道路プレキャストコンクリート工耐震設計要領[カルバート編] (応答変位法、応答震度法)

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